思い起こせば2009年の正月に心定めをしたのが始まりでした。当時私は日本橋にある抹茶カフェの店長を10年ほどしており、その後の人生に不安を抱えていました。お店は繁盛していたのですが、薄利多売で実入りも少なく「このままだと結婚もできないな」とか結構悩んでいました。（まあ相手もいなかったのでね）「今の環境を変えるしかない！なんとかその状況を脱出しよう！」と漠然とですが思い。そのまま忙しい日々を過ごしておりました。そんな折、店舗事業を見直すこととなり、私はそこから離れることを決めました。創業から携わっていたのもあって、後ろ髪はひかれましたが結局何かに導かれるようにやめることとなりました。

前職をやめて次の仕事を探していましたが、当時リーマンショックのさなかで仕事もすぐにはみつからず。どうしたものか思案しておりました。東京生まれですので、地方に行くなどは全く考えていませんでしたが。そもそも仕事でも転勤で、静岡県に住んだのが一番西で、ほぼ東京・神奈川で暮らしてきた私としては、もちろん高知に行くなど全く思いもよりませんでした。その後、縁があって、高知の酒卸でワインの輸入・営業の仕事を紹介され、そちらにお世話になることになりました。

最初に住んだのは、いの町の会社の社宅だったのですが、車がないと相当不便を感じました。一応高知市内の繁華街には電車（路面電車）やJR四国にて行けるのですが、数が少ないのと時間もかかるので、会社に余っていた乗用車をお借りして使っていました。車を使えば買い物も困らず特に戸惑うことはありませんでした。でも、虫（くもとかトンボ）が多いのには戸惑いました。くもで手のひらサイズぐらいあるのが部屋に出たときは思わず声を出しましたけど。

当然ながら、友人がいなかったので、休みの日はどうやって過ごすか難題でしたが、その当時、はまっていたテニスやゴルフを通じて知り合いをふやしていきました。仕事を通じてもまた色々な知り合いも増えていき、だんだんと高知県内のことが分かるようになってきたと思います。当時は未婚だったので割と自由に動いており、生活自体はさほど東京との違いを感じず過ごすことができました。周りの方がみな親切に接してくれたので、人間関係で悩むようなことはありませんでしたよ。ちなみに私見ですが、都会で人間関係に悩んでいる人が地方に移住してもその悩みは解決されないと思います。どんな場所にも色々なタイプの人がおり、合う人合わない人はいるので、過剰に期待は禁物かと思います。

移住してあっというまに10年以上たちましたが、地方は「普通」「スタンダード」というワードが通用しないので、テレビのなどの情報が全く役に立たないという事に気づきました。

。